Now Loading...
待ち合わせの日は、雪の降る寒い日だった。約束の場所に急いで向かう最中、雪でスリップした車にひかれたんだ。
☆
「ここは、星守の塔は、貴方の未練を断ち切る為にある場所なの。私は、貴方を正さなければならないわ」
「どういう意味だ」
「つまり・・・貴方が彼女に会いたいと言う願望があるなら、貴方の思想は危険なの。彼女の命に関わる問題よ」
サラは真剣な顔をして言った。
「星は勝手に願いを叶えてしまうもの・・・彼女をこっちの世界へ呼んでしまうかも知れないって事。貴方の心が彼女を不幸にしてしまう」
サラは星守の塔の壁に手を当てて、リンの姿を映し出した。リンはタスクと約束をした待ち合わせの場所で、タスクを待っていた。スマホを気にしながら白い息を吐いて、空を見上げた。
タスクは、その姿を見て、床に膝をついた。
「--------リン、来てくれたんだ・・・」
決して、タスクの来ることのない場所に。今すぐ会いに行きたい。けれど、もう会えない。
タスクの目に涙が滲んだ。
「この十分後には、彼女は貴方と同じ運命にあうの」
「やめてくれ!」
少女の残酷な言葉に、タスクは思わず声を荒立てた。
「貴方の心の問題だと言ったはず」
「オレが、あいつを不幸にする訳がないじゃないか・・・」
タスクの心は決まっていた。
確かに、オレは彼女に会いたいと思っている。このまま彼女をここに引き寄せ、一緒に逝ってしまおうかと思う自分もいる。でも、彼女には誰よりも幸せに生きてほしい。だから、オレは・・・。
「オレを星に戻してくれ。オレの潜在意識が彼女に危害を及ぼす前に。オレは生まれ変わって、必ず彼女に会うんだ」
「貴方と彼女は、もう恋人にはなれない。それでも?」
少女が答えを確認するように再度問いかける。
「ああ・・・オレは生まれ変わって彼女の夫になる奴を蹴飛ばしてやると決めた」
来世で彼女と会えるなら、もう未練なんてない。気付けば涙がこぼれていた。
しかし、もう気持ちは晴れやかだった。
「-------分かったわ、貴方の願いを叶えましょう」
☆
十年後-------
ある幸せそうな家庭に、赤ん坊の大きな泣き声が響く。
「オギャアオギャア」
「はいはい、ミルクの時間ね。貴方、ちょっとタスクを見ててくれる」
「おお、タスクはよく泣く奴だなぁ、タスクくん。パパですよー」
赤ん坊は、父親の胸をポスポスと小さな足で蹴飛ばした。
END--------