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SKY CAFE

 幾何学大学 ~カンデレラ~

 

*シンデレラのパロディです。

カンデレラ→神崎亨 / 姉→白石桂樹・森沢朝日 / 魔法使い→白石桂樹 / 王子→白石十樹 / 家来→橘サトル

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昔、ある貴族のお屋敷に、可愛い女の子が生まれました。女の子はすくすくと育ち、やがて不気味な娘になりました。  けれども、幸せは長くは続きませんでした。  優しいお母さんが病気で死んでしまったのです。

 

お父さんは、女の子の為に新しいお母さんを迎えました。  そのお母さんは娘を二人(桂樹・朝日)つれてきます。

三人とも、とても欲張りで意地悪でした。  お父さん(神崎父)はそのことに気付いていなかったのです。  最も、カンデレラは、自身も欲張りで意地悪だということに気付いていませんでしたが……。

「(神崎亨)父さん! 父さん、しっかりして下さい。このままじゃ、僕の地位は地に落ちたままです!」

「(神崎父)カンデレラ、父さんはカンデレラが、この屋敷を大きくしてくれると期待している。 父さんが死んでも、この地位を向上させる様……げほげほ」

「(神崎亨)僕に全ての責任を被せておいて、その言い様はないでしょう。第一、この性格の悪い奴等をつれてきてどうするんですか!」

 

カンデレラは、二人を指差して言った。

「(桂樹)性格悪いのはカンデレラの方だろ? 失礼な奴だな」

「(朝日)そうです。カンデレラは私の命令を聞いていれば良いのです」

「(神崎父)カンデレラ……グッドラック」

 

お父さんは、最後だけカンデラの幸せを願って死んでしまいました。

               

 

次の日から、カンデレラは朝から夜更けまで働かされました。

「(朝日)カンデレラ、ここの隙間にホコリがあります。ちゃんと掃除して下さい。それから、このご飯ですが全く美味しくありません。私はもっと美味しいものを食したいと思います」

「(桂樹)そーだぞカンデレラ。オレのゴキブリすら、このご飯は受け付けないと言っている」

「(神崎亨)それなら君達が作りたまえ!(怒)」

 

ある時、この国のお城でダンスパーティーが開かれることになりました。  王子(十樹)さまのお嫁さんを選ぶためです。  二人の意地悪な娘は、お化粧をしたり、綺麗なドレスを着たりして大騒ぎです。

「(桂樹)ははは! この衣装で王子の心を射止めてやるぜ! そして一攫千金を狙ってやる!」

「(朝日)残念でしたねお姉さま、いえ、オネエ様。私はこの惚れ薬を王子に与えるのです。王子は 私のものになります」

 

お姉さんたちは、そう言って楽しそうにしています。

「(桂樹)カンデレラ、怠けないで働くんだぞ!」

「(朝日)美味しいご飯を食したいと思います」

「(神崎亨)とっとと行け!」

 

お姉さん達がお城へ出掛けてしまうと、カンデレラはしばしの自由に、口笛を吹きました。  しかし、その口笛の効果で、魔法使いのおばあさんが立ってしまいました。

「(桂樹)その口笛をやめろ、カンデレラ」

「(神崎亨)お前は城へ行ったんじゃなかったのか(怒)」

「(桂樹)うるせー、一人二役なんだよ。めんどくせーけど、これも仕事の内。きっと後で給料が……」

 

おばあさんは魔法の杖を持ち、頭をぽりぽりかきながら言いました。

「(桂樹)オレの言う通りにすれば、城のパーティーに潜り込めるぜ」

「(神崎亨)ふん、僕は、金と地位以外は別に興味もないが、まあいい。その案に乗ってやろう」

「(桂樹)随分、偉そうな物言いだな。面倒だからさっさとやっちまうか。ええと、このダンボールが使えるか。あとはゴキブリ一匹と飛樹一人……」

 

カンデレラは嫌な予感がしました。

「(神崎亨)お、おい、お前に任せて大丈夫なんだろうな?」

「(桂樹)オレに任せとけ」 

 

自信満々に言い切るおばあさんに、カンデレラは余計に不安になりました。  おばあさんが、魔法の杖で触ると、ダンボールは大きなダンボール箱に、ゴキブリは巨大ゴキブリに、飛樹は御者の格好に着替えました。

「(神崎亨)うっ」

 

巨大ゴキブリを見て気分を悪くしたカンデレラは、壁に手をつきました。  そして、カンデレラにも杖が触れると、奇抜なドレスを来たお姫様になりました。

「(神崎亨)これは、夢だ。悪夢に違いない……」

「(桂樹)これでばっちりだ。頑張って王子(十樹)の心を射止めてくれ、じゃあな」

「(神崎亨)待て! 靴がボロボロなんだ!」

「(神崎)しょーがねーな」

 

おばあさんがそう言ってシンデレラの靴に杖を振りました。すると、ボロボロの靴は新品の革靴になりました。

「(神崎亨)服と合っていない気がするが……」

「(桂樹)生憎、この魔法しか使えなくてな」

 

革靴は新品になっただけなので、カンデレラの足にぴったりと合いました。

「(桂樹)いいか、十二時の鐘が鳴り終わると、魔法は消えるぜ! その前に帰ってこねーと責任持てねー からな」

「(神崎亨)アフターサービスはないのか!」

 

カンデレラは、おばあさんに毒を残して出掛けました。  ダンボールで出来た、馬車ならぬ、ゴキブリ車は、とても乗り心地の悪いものでした。  ゴキブリが飛ぶ度、ゴキブリ車が跳ね上がるからです。  カンデレラは「ひいい」と悲鳴をあげました。

 

カンデレラがお城につくと、皆はびっくりしました。  それもそのはず。  カンデレラは奇抜な衣装を着て、靴は革靴、そしてカンデレラの体格を見て、皆は「変態だ。変態が来たぞ」とざわめきました。

                  

「(橘)大変です王子、あれを見て下さい」

「(十樹)なんだい? 私はお嫁さん探しなんてどうでもいいんだ。妹さえ居ればそれでいい……」

「(橘)いえ、駄目です。王子たるともいじめを黙認しては」

「(十樹)いじめ?」

 

家来の言う事に、王子が大広間を見ると、奇抜な衣装を着た変態らしき人物を、皆が遠巻きに見ている。

「(十樹)よく、職務質問されなかったね」

「(橘)そういう問題ではありません。皆があの娘を避けている。これは由々しき事態です」

「(十樹)私にどうしろと?」

「(橘)あの娘とダンスを踊って、彼女のイメージを変えましょう」

「(十樹)……私は、どうも気乗りしないんだが……」

「(橘)何を言ってるんです。さあ!」

 

王子は家来の言う通り、渋々広間に出て、カンデレラに手を差し伸べました。

「(十樹)……踊る気はありますか?」

「(神崎亨)来たな! 王子!」

 

その様子を見て、一人のお姉さんとオネエさんが言いました。

「(桂樹)王子……趣味悪い男だな、あぁ、オレの一攫千金の夢が」

「(朝日)私というものがありながら、許せません!」

「(神崎亨)二人共、良く見たまえ! 王子は僕の虜だ!」

 

ふははは、と不敵に笑うカンデレラを見ても、眼鏡を外していたため、オネエさん達はカンデレラだと気付きませんでした。

「(十樹)私は、王子という地位が嫌になってきたよ……」

 

周囲の好奇な目で見られる中、王子は渋々カンデレラとダンスを踊りました。  しかし、どうも様子がおかしい。

「(十樹)いた……っ!」

「(神崎亨)……」

「(十樹)いた……っ!」

「(神崎亨)……」

 

カンデレラは、ダンスが踊れない為、何度も足を踏んで王子を苦しめました。

「(十樹)そろそろ十二時です。カンデレラ」

 

痛みに耐えかねた王子は、カンデレラにさり気なく時間を知らせました。

「(神崎亨)何!?」

 

急いで帰らなければ、魔法が消えてしまう。

「(神崎亨)帰る手段がなくなるじゃないか!」

 

カンデレラは広間を走りぬけ、お城の階段を駆け下りました。  革靴であった為、ダッシュで逃げるような形で、ゴキブリ車に乗り込みました。

 

こうして、カンデレラのお城デビューは終わりました。

                 

「(十樹)あの娘をどうしても探し出してほしいんだ」

 

王子は家来達に命令しました。

「あの階段に落ちていた、このガラスの靴が、あの娘のものだと思うんだが……この靴が履ける娘を探し出してくれるかい?」

「(橘)分かりました」

 

家来達は国中を訪ね歩いて、最後にカンデレラの家にやってきました。  ガラスの靴は大変小さいので、どの家の娘も履けなかったのです。  一人の娘は、ぎゅうぎゅうと足を押し込みましたが、足が大きすぎて入りません。  もう一人の娘は、靴ががばがばでした。

 

最後の望みをかけていた家来達はがっかりしました。

「(橘)他にお嬢さんはいませんか?」

 

お城の家来達は、困り果てた様子で聞きました。  その時、カンデレラの目がきらんと光りました。

「(神崎亨)僕にも履かせてくれないか?」

 

カンデレラは思いました。  この靴が履けたら、この生活から抜け出し、ある程度の地位を約束させることが出来る、と。

「(桂樹)カンデレラには無理じゃね?」

「(朝日)王子(十樹)は私のものです」

 

二人のオネエさんたちは怒ってやめさせようとしましたが、お城の家来は、

「お嬢さん、(多分無理だと思いますが)履いてみてください」

 

カンデレラは、ガラスの靴に足を差し込みます。

「(神崎亨)ふんっ!」

 

ばきっ!

「(神崎亨)……っ!」

「(橘)ああ……っ!」

 

カンデレラが勢い良く足を突っ込んだ為、ガラスの靴は、粉々に割れてしまいました。

 家来達は、二度がっかりです。

「(橘)王子、申し訳ございません。ガラスの靴は割れてしまいました」

「(十樹)ああ、いいんだよ。足の治療費を請求しようかと思ったが、どうやら私の見当違いだった ようだしね」

「(橘)は?」

「(十樹)あのガラスの靴は、どうやら妹のものだったらしい」

「(橘)そうでしたか……安心しました」

 

こうして王子のお嫁さん探しは、終わったのである。